「生まれてこなければよかった」と泣いた生徒

〜抱きしめるという、最も深い対話〜

KOSHIN学院を開いてから、もう何十年も経ちます。数え切れないほどの生徒たちと出会い、笑い、悩み、時には涙を流してきました。その中でも、今でも忘れられない出来事があります。

ある日、一人の生徒が私の前でぽつりとこう言いました。

「…あたしなんか、生まれてこなければよかった。」

その言葉を聞いた瞬間、胸が締め付けられるような思いがしました。彼女の目には涙が溜まり、声は震えていました。私は静かに話を聞きました。

家庭では両親との関係がうまくいかず、兄弟とも衝突が絶えない。家にいるだけで、まるで針のむしろに座っているような気持ちになる。学校の成績も振るわず、運動も苦手。どこにいても、自分の居場所がないと感じていたのです。

これは、ただの思春期の悩みではない。そう直感しました。彼女の心は、限界まで追い詰められていたのです。

私はすぐにお母様に連絡を取りました。事情を説明すると、お母様も深く悩まれていて、「先生、どうしたらいいでしょうか…」と涙声で仰いました。

そのとき、私の口から自然と出た言葉はこうでした。

「何も言わずに、思い切りお子さんを抱きしめてあげてください。」

言葉ではなく、ぬくもりで伝えること。理屈ではなく、存在そのものを肯定すること。それが今、彼女に必要だと感じたのです。

お母様からご報告がありました。

その夜、帰宅したお母様は、何も言わずに娘さんをぎゅっと抱きしめたそうです。数分間、ただ静かに。すると、娘さんはポロリと涙をこぼし、やがて声をあげて泣き始めたそうです。お母様は、泣き止むまでずっと抱きしめ続けました。

翌朝、彼女は晴れやかな顔でKOSHIN学院に来てくれました。目には力が戻り、声には張りがありました。私はその姿を見て、言葉にならないほどの安堵と喜びを感じました。

この出来事は、私に改めて「教育とは何か」を問い直させてくれました。

勉強を教えることだけが教育ではありません。点数を上げることだけが目的ではありません。子どもたちが「自分はここにいていいんだ」と感じられる場所をつくること。「生きていていいんだ」と思える瞬間を届けること。それこそが、私たち教育者の使命なのだと。

そして、親子の関係もまた、言葉以上に「触れ合い」が大切なのだと痛感しました。抱きしめるという行為は、愛情の最も純粋な表現です。それは「あなたは大切な存在だ」と、全身で伝えるメッセージなのです。


どんなに成績が悪くても、運動が苦手でも、家庭に問題があっても――その子が「生きていていい」と思えるように。そのために、私たちは存在しているのです。

この出来事を通して、私は改めて「教育は命を支える営み」だと感じました。

もし、今この記事を読んでいる保護者の方がいらっしゃるなら、どうかお子さんがこんな感じになったら、何も言わずにお子さんを抱きしめてみてください。言葉では届かない思いが、きっと伝わるはずです。

そして、生徒の皆さんへ。

君たちは、かけがえのない存在です。生まれてきてくれて、ありがとう。



今日のポイント!

生まれてきてくれてありがとう。生きててくれてありがとう!



それでは今日はこの辺で! また明日♪


【KOSHIN学院は神奈川県平塚市田村にある、一生懸命頑張る生徒をトコトン応援する高校受験専門の学習塾です!】

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この記事を書いた人

瀬下淳志のアバター 瀬下淳志 KOSHIN学院塾長

神奈川県平塚市田村にある高校受験専門の集団個別指導の学習塾です。お勉強が苦手でもお断りしませんが『やる気』は大いに気にしています。